NPO(特定非営利活動)法人 ワークショップ「いふ」
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  陶器開発報告
 
1)はじめに 2)食器に関するニーズ調査結果 3)窯元の商品開発 4)モニター会リポート
初期に関する高齢者のニーズを把握するため、現在使っている食器などについて聞き取り調査を実施した。調査件数は自宅でクラス高齢者6人(80代と90代、介護度:要支援〜要介護3)と高齢者が入居する施設10軒(医療施設1、老人保健施設4、福祉施設4、グループホーム1)。

■在宅高齢者
食べることやちょっとした料理が楽しみ
現在使用している食器として、全ての人が陶器を挙げている。いつも使っている食器の種類としては10種類以上と答えた人が半数で、5種類未満が2人、6種類が1人。使い慣れたものの中から、それぞれの体の状態に合わせて使い易いものを選んでいるようである。

食材の買い物に自分で行くことのできる人はいなかった 。調理も、自分ではできない人が5人で、今のところはできると答えた1人も、出来合いのものや半調理の食品を利用しながらという状態である。食事はスプーン等を使って自分でできる人と介助が必要な人が半々ずつで、ほとんどの人が「よくこぼすようになった」と答えている。後片付けは、自分でできない人が半数、面倒ながらもゆっくり時間をかけて自分でしている人が半数であった。

大半の人は「食べることやちょっとした料理が楽しみ」と答えている。

食器に求めるものそしては「軽さ」が最も多い。他に運びやすさ、持ちやすさ、滑りにくさなど。保温や保存、デザイン(かわいいもの)に関する要望もあった。

 

ケース1:
女性 83歳 介護度/要支援 

ケース2:
女性 99歳 介護度/要介護3

主な食器の材質 アルマイト、ガラス、陶器、磁器 陶器、磁器
いつも使う種類 10種類以上 10種類以上
現在の食器を選んだ
主な理由
使い慣れているから
体が不自由になったので軽さ
盛り付けや配膳し易さ、運びやすさ
デザイン・彩り・カラーが好きだから
使い慣れているから
体が不自由になったので割れにくさ
現在の食器で感じる事 食べるのに時間がかかるので保温性が高い1人用の土鍋を使っているが、重くて使いにくい。軽い土鍋が欲しい。使い慣れた食器でも丼やカレー皿などの重いものは使っていない(カレーは小鉢に、ご飯は茶碗に入れて少しずつかけて食べている) 痴呆が進んでいても、器は本人の好みのものをと考えて選んでいる。ガラスの器は危ないので使わない(突然投げるので・・・)

1)買い物

自分では行けないが、頼める人がいる 自分では行けない
2)調理 今は自分でできるが、出来合いや半調理のものを利用している 自分ではできない
3)介助 介助の必要はないがよくこぼすようになった 食事は自分でできる
4)楽しみ ちょっとした料理をつくる時 デイサービスに行く事
5)後片付け ゆっくりだが今は自分でなんとかできる 自分ではできなくなった

  

ケース3:
女性 91歳 介護度/要介護2

ケース4:
女性 94歳 介護度/要介護2

主な食器の材質 陶器、磁器 陶器、磁器、木、竹、ガラス、強化ガラス
いつも使う種類 5種類未満 10種類以上
現在の食器を選んだ
主な理由
使い慣れているから
体が不自由になったので使いやすさ、軽さを重視して
使い慣れているから
いただいたものだから
何でも良い、こだわっていない
現在の食器で感じる事 トレーに乗せるので、滑らない材質の器が欲しい。   

1)買い物

自分では行けないが、頼める人がいる 自分では行けないが、頼める人がいる
2)調理 自分ではできない 自分ではできない(危険なので任せられない)
3)介助 スプーンを使って自分で食べる 介助が必要になった、こぼす
4)楽しみ 食後のデザート 歯が悪いため、味覚が落ちて食事の楽しみが減った
5)後片付け 自分ではできなくなった 自分ではできなくなった

  

ケース5:
女性 85歳 介護度/要介護2

ケース6:
女性 94歳 介護度/要介護2

主な食器の材質 陶器 陶器、磁器、木、竹、ガラス、強化ガラス
いつも使う種類 5種類未満

6種類

現在の食器を選んだ
主な理由
使い慣れているから
体が不自由になったので軽さ、割れにくさを重視して
使い慣れているから
いただいたものだから
何でも良い、こだわっていない
現在の食器で感じる事 1枚の皿で3〜4カ所に仕切られているような多様性のある器が良い、小ぶりの器に少しずつ、何種類も入れるので、残したものを捨てるのが面倒でもったいない。
軽くてかわいいデザインがあると良い。
今は持てるが、持てなくなった場合は軽い材質に変えなければと思っている。でもそれでは味気ない気がする。
軽くて持ちやすいものが良い。

1)買い物

自分では行けない 自分では行けない、宅配を利用
2)調理 自分ではできない 自分ではできない
3)介助 こぼす 介助が必要になった、こぼす
4)楽しみ 自分の好きな麺類や刺身が食事に出ると、喜んで全部食べる 食べることだけが楽しみ、茶碗蒸し、白和え、グラタンが好き
5)後片付け 自分ではできるが、面倒になった とても大変だが仕方ないのでやっている
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■施設
使いやすさや食事の楽しみも重視
食器の材質をみると10施設中8施設でメラミンをしようしている。そのなかで7施設はメラミンと陶器や磁器等、何種類かの材質を組み合わせて使用している。陶器を使用しているのは6施設である。

現在使っている食器を選んだ理由としては「使いやすさの重視」「後片付け、洗浄のしやすさ」「食事の楽しみの重視」「デザイン・彩り・カラーの配慮」「軽さの重視」などが挙がった。

使用中の食器に対する意見は、同施設でも「軽くて使い易い」と思う人と「重くて使いにくい」と感じる人に分かれたり、「軽さ」についても反応には個人差があるようだ。

陶器を使用している施設もしていない施設も、陶器を使う事のメリットとして、「家庭的な雰囲気や季節感を表現できる」「盛り付けた時の見栄えの良さ」「秋が来ない」といった点を挙げている。

要望としては、「収納のし易さ」「スプーンですくいやすくするための返り」「握りやすいもの」「花や動物の絵柄」等が挙げられた。ワンセットあたりの予算の許容額としては、3,000円から20,000円までと幅があるが、5,000円前後を考えている施設が多い。

  

ケース1:医療施設

ケース2:老人保健施設

主な食器の材質 メラミン メラミン、陶器、磁器
準備している種類 19種類 10種類以上
現在の食器を選んだ
主な理由
食事の楽しみを重視して
盛り付け、配膳のしやすさを重視して
後片付け、洗浄のしやすさを重視して
食事の楽しみを重視して
使いやすさを重視して
価格に配慮して
現在の食器について 食事に合った食器をと考えて、種類を多くしている。置いたときに安定して、収納しやすいものが良い。 家庭的な雰囲気をと考え陶磁器を使用している。収納を考え、スープ皿は子供用の耳の付いている器を使用。陶器は重ねてリフトで運ぶ際の破損が多いが、消耗品と考えることにしている。

ワンセット許容価格

1個700円くらいを5種類揃えて3,500円 1個500円〜100円を15種類揃える
現在の材質について
お年寄りの反応
聞いたことがないので解からない、考えたこともない。 「軽くて使い易い」と思う人と「重くて使いにくい」と思う人がいて、感じさには個人差がある。バラエティに富んで楽しいと思っている。
食器について思う事 できれば陶器を使いたい。メラミンだとどんなおいしい料理も見栄えがしない。配膳から洗浄まで考えると全てを陶器には無理だが1〜2種類なら利用できると思う。その場合はごはん茶碗だろう。バイキング用の大皿は陶器でも良いと思う。 食器は有田へ出かけて買っている。まとめ買いが安い。皿はスプーンですくいやすいように、ある程度深みがあるもを使用。季節によって器を変えるととても喜ぶ人がいる。洗浄器であらうので薄い器は割れやすい。陶器は家庭的な雰囲気や質感があるので使っている。メラミン製は価格が3倍ほど高いが、割れないので長持ちする反面飽きる。

  

ケース3:老人保険施設

ケース4:老人保険施設

主な食器の材質 メラミン、陶器、磁器、強化磁器 メラミン、ポリフロピレン、陶器、磁器、強化磁器、保温食器
準備している種類 10種類以上 10種類以上
現在の食器を選んだ
主な理由
デザイン・彩り・カラーに配慮して
使いやすさを重視して
価格に配慮して
デザイン・彩り・カラーに配慮して
食事の楽しみを重視して
使いやすさを重視して
現在の食器について

皿類は、以前は陶器を使用したが、重いので他のものに変えた。同じ陶器でも、湯のみ、ごはん茶碗、深鉢が割れやすい。割れる度に補充するのでお金がかかる。メラミンは重ねられるので使い易い。

レインボウ(商品名)を使用している。大中小と重ねられるので場所をとらない。行事用の食器は別に用意している。

ワンセット許容価格

4,000円〜5,000円 20,000円
現在の材質について
お年寄りの反応
「軽くて使い易い」と思う人と「重くて使いにくい」と思う人がいて、感じさには個人差がある。バラエティに富んで楽しいと思っている。 何も感じていないようだ。重いので使いにくいようだ。つかみにくいようだ。
食器について思う事 食器は指定業者から買っているが全て値段が高い。 一番困っているのは湯呑。大きくなくて握りやすく返しのついているものが良い。料理が全部見えるワンディッシュのもので、和食用の食器がない。スプーンで食べる場合には小鉢が座りがいいので良い。

  

ケース5:老人保険施設

ケース6:福祉施設

主な食器の材質 メラミン、強化ガラス、強化磁器 メラミン、ポリカーボネート、強化磁器
準備している種類 9種類 5種類未満
現在の食器を選んだ
主な理由
使いやすさを重視して
軽さを重視して
盛り付け、配膳のしやすさを重視して
デザイン・彩り・カラーに配慮して
使いやすさを重視して
後片付け、洗浄のしやすさを重視して
現在の食器について

盛り付けが映えるようにほとんど白系の食器を使用。視力が弱い人のために、赤・黄・黒等の色つきの物も用意している。種類が少ないのでどんな食事にも合うような器を選んでいる。

できるだけ家庭的な雰囲気に近づけるために陶磁器を使いたいが、実際には難しい面がある。メラミンは漂白する場合に温度管理が必要で繰り返すと色のくすみが出やすいが陶磁器は漂白しやすいので良い。温冷配膳器で65度以上で管理した場合、陶磁器は熱く感じる。四角い皿は洗浄の際、縁が欠けやすく角に汚れが残る。複雑な形は重ねにくく、収納場所を取り過ぎる。

ワンセット許容価格

10,000円 7,000〜8,000円
現在の材質について
お年寄りの反応
軽くて使い易いと思っている。 軽すぎて動くので使いにくいようだ。
食器について思う事 施設が広いため、保冷車をしようしているので、食器は幅や高さが保冷車に入るものでなければ使えない。軽いものが良い。見た目にはやはり陶器が良い。飽きのこないもので、何を盛り付けても合うものが欲しい。 スタッフの立場から考えても、同じ食器ばかりでは飽きる。季節感を出す上でも食器の持つ力は大である。施設の場合、本来なら利用者1人1人に合った食器の提供が望ましい。スプーンで掬いやすい、縁高の器が欲しい。

  

ケース7:福祉施設

ケース8:福祉施設

主な食器の材質 メラミン、ガラス、強化ガラス、磁器 強化ガラス、陶器、木
準備している種類 8種類 10種類以上
現在の食器を選んだ
主な理由
使いやすさを重視して
軽さを重視して
盛り付け、配膳のしやすさを重視して
使いやすさを重視して
軽さを重視して
後片付け、洗浄のしやすさを重視して
現在の食器について

自助食器など、周りの人と違う器を使うことには抵抗があるようだ。

滑りにくいもの、乾燥機に入るものを選らんでいる。デザインは抽象的なものより、はっきりとした絵を好む人が多い。かわいい兎や花などはその食器をきっかけに会話も弾む。麺類は丼に入れて出すが、食べるときには小さい茶碗に少量ずつ入れて食べるので軽いから良いというわけではない。

ワンセット許容価格

5,140円 3,000円
現在の材質について
お年寄りの反応
軽くて使い易いと思っている。 新しい食器を出したときには「こりゃよかなあ」と言ってる人がいる。
食器について思う事 施設が広いため、保冷車をしようしているので、食器は幅や高さが保冷車に入るものでなければ使えない。軽いものが良い。見た目にはやはり陶器が良い。飽きのこないもので、何を盛り付けても合うものが欲しい。 使ってみたいと思うような気持ちにさせる食器が欲しい。50〜100個単位で買うと、半値で買うことができる。

  

ケース9:福祉施設

ケース10:福祉施設

主な食器の材質 メラミン、陶器 ガラス、強化ガラス、陶器、磁器、木、竹、強化磁器
準備している種類 6種類 10種類以上
現在の食器を選んだ
主な理由
使いやすさを重視して
軽さを重視して
後片付け、洗浄のしやすさを重視して
デザイン・彩り・カラーに配慮して
食事の楽しみを重視して
使いやすさを重視して
現在の食器について

現在、茶碗蒸し用の陶器を使用している。

お盆を使用するので、食器はそこそこに乗せる事のできる小振りのものを使用。重ねやすく場所をとらないものを選んでいる。家庭の雰囲気を保つために、アルミ、メラミン、ポリプロピレン等は使用しない。

ワンセット許容価格

10,000円 5,000円
現在の材質について
お年寄りの反応
軽くて使い易いと思っている。 軽すぎて動くので使いにくいようだ。
食器について思う事 施設が広いため、保冷車をしようしているので、食器は幅や高さが保冷車に入るものでなければ使えない。軽いものが良い。見た目にはやはり陶器が良い。飽きのこないもので、何を盛り付けても合うものが欲しい。 何も感じない人とバラエティに富んで楽しいと思っている人がおり、反応には個人差がある。
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